2012年5月より、社会福祉法人陽光 特別養護老人ホームみかんの丘において、「介護力強化プロジェクト」と銘打った、自立支援介護への取り組みを開始した。
オムツ使用ゼロの定義とは → 「昼間排便のためにおむつは使わない」まずは排便をオムツの中にしないケアを展開。
まず私たちは、おむつをしたいのか・・について考えてみた。
おむつが外れた利用者の声
「おむつに便をするくらいなら、ボケてしまった方がいい」
「病院の看護婦さんのことを考えると、忙しそうでおむつにされても、トイレに行きたいなんて無理は言えなかった」
誰でもおむつをしたいわけではない。体が不自由になったら仕方ないなんて、その人の気持ちましては人権さえも無視した介助が行われているのが現状であり、私たちは介護の専門職として不快感を与えることに気づき改善に努めなければいけないのである。
そこで
排便の4大ケア
「水分ケア」「下剤中止」「歩行練習」「トイレで排泄」を忠実に実践。
1日1500ml以上の水分摂取を行い、覚醒水準のアップを図る。覚醒水準がアップすれば必然的に活動性も向上。活動性も向上すれば起立大腸反射がおこり、空腹時に水分摂取を促すことで胃・大腸反射がおこり、大腸の動きが活発になる。
人はすべての動作を学習によって獲得し、使用しなければ動作能力は失われる(動作方法を忘れる)ため、歩行の記録回路を呼び起こすことで歩行能力の再獲得を図る。
上記4つのケアを実践すること自体が目標になると、入居者は「何のためにやっているのかわからなずやる気もおきない」。たとえばおむつを外すことだけが目標になれば、入居者は「替えてもらったほうが楽」となり、上記取り組みが負担になってくる。おむつを外すことが目標ではなく、それはあくまでも目標を達成するための手段にしなければ、やりがいは生まれない。
目標実現に向けた援助こそ、私たちにとっての介護力強化への取り組みである。単なる筋力アップだけに着目するのでなく。日常生活の中での「できる行為」を増やすことで、 自然に筋力が向上できる方法を考えていかねばならない。「誰でも目標があれば頑張れる!」・・・・そこで、全入居者の目標の見直しを行った。改めて見てみるとほとんどの方が、穏やかに体調が安定して過ごしたいなど、決してアクティブな目標とはいえなかった。。。これでは頑張りがいがない・・・。
もう一度何がしたのか? 輝いていた時間ってどこなのか?というところに焦点をあて、ご家族やご本人から情報収集を行い、入居者の生活歴にアプローチし想像力をめぐらすことで、入居者の生きがいを発見し、それを具現化していけるように、明確な目標に再設定。 おむつをはずして旅行に行こう!などなど。どの目標を達成するためにも、まずは意識覚醒を図り、日中活動性のアップを目 指していくことから開始!
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 |
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日々の生活環境に慣れて穏やかに生活できるようになりたい。 | 穏やかに過ごすことが出来る。 | 安定した日常生活の確保。 |
現在の状態が悪化することなく日々の生活を安定して過ごしたい。 | 全身状態が安定する。 | 異常の早期発見。 |
現在の身体機能を維持しながら自分のペースで生活して行きたい。 | 身体機能の維持と快適な生活を営む。 | 日常生活を維持する。 |
ニーズ | 長期目標 | 短期目標 |
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2他者と一緒にゲームを楽しみたい。Ⅱ自宅で家族と一緒にご飯が食べたい。 | 立ってゲートボールを楽しみたい。 | Ⅰ歩行器使用で移動できる様になる。(見守り) |
帰宅時の家族の介助負担を減らしたい。 | 1人介助で歩いて移動できる。 | 軽介助でつかまり立ちが出来る。 |
大好きな好きな釣りをして釣った魚を食べたい。 | 海釣りにいく。 | ①竿を操れる②常食化 |
PEGを抜去してほしい | 3普通食を食べることができる。 | 経口から500Kcal分の食事が取れる。 |
小天天子宮のお祭りを見に行きたい。 | 祭りで好きなものを食べることができる。 | 普通椅子で1時間から1時間半ほど楽に座ることができる。 |
立って茶碗洗いがしたい。 終日パンツで過ごしたい。 |
一人で茶碗洗いが出来る様になる。 | 歩行器で日中食席からトイレまで歩けるようになる。 |